Staff Blog スタッフブログ
2021.01.04
日本と外国の住宅の考え方の違いについて。
久しぶりのブログになってしまい、申し訳ありません。
エコーアートの袴田大地です。
こちらのブログでは、住宅について皆様のお役に立てる情報を発信しております。
今回のタイトルは「日本と外国の住宅の考え方の違いについて。」という内容について書いていきたいと思います。
日本と外国の住宅には、決定的な考え方の違いがあります。
同じ住宅なのに、どのような考え方の違いがあるのでしょうか。
少し長くなってしまいますが、楽しみに読んで頂ければと思います。
日本の住宅の寿命とは?
まず、住宅の考え方の違いの話をする前に…日本の住宅の寿命って何年くらいかご存じですか?
インターネットで検索すると、すぐに出てくるのですが、おおよそ30年前後と言われています。
え?と思われた方も多いと思います。
私も初めて聞いた時には、皆様と同じように「え?」となりました。
ただ、ここには誤解があって、30年で住めなくなるというわけではなくて、30年前後で住宅が建て替えられている、という日本の現実があるのです。
本当の日本の建物の寿命は?
では、日本の建物の本当の寿命が気になるところですよね!
厳密には、湿気やすい場所や雨の当たり具合、日の当たり具合等、条件によっても異なるため、言い表せない部分ですが…
テレビで古民家の…という番組で築100年の住宅が取り上げられていることがあったり…
住宅ではありませんが…
奈良県にある法隆寺は、607年(7世紀)に建築されて、600年代後半に火災で焼失したものの再建築され、その建物が今も残っています。
もちろん、補修工事を行い続けてですが。
補修工事について調べてみると…法隆寺はどの部分か不明ですが、1度解体されて、腐ってしまった部分の材木だけ交換して、再度組み立てられたとの記載もありました。
大規模補ですよね。
現在の住宅用語で言うところの、リフォームということですね。
ですから、一概に木造住宅の寿命というのは、言い切れないのです。
日本の住宅に対する考え方
では、日本の住宅に対する考え方は、どのようなものなのでしょうか?
先述したように、日本は約30年程で住宅を解体することが多いです。
空き家になったり、諸事情により売却することになったり、建て替えたり…
理由は、その家の持ち主によるところが大きいです。
売却するとなると、家付きでは売れないことが多く、解体してその土地を売却することがほとんど。
「今度、息子が家を建てることになったから、建て替えるよ」なんて話もよく耳にするのではないでしょうか?
このような理由で、日本の住宅は、1サイクル→建築主の代だけで解体されてしまうことがほとんどなのです。
海外の住宅に対する考え方
では、海外の住宅に目を向けてみましょう!
実は、海外は日本の住宅の考え方とは、全く異なります。
と言いますか…根本的に違います。
海外と言いましても、アメリカや南欧、北欧の住宅に対する考え方は大きく共通している部分があります。
それは、住宅を手入れして長く持たせようとする考え方を持っているということです。
そして、長く持たせた住宅を子供や孫の代まで引き継ぎ、住み続けられるようにすること。
そうすることで、子供や孫は住宅ローンに縛られることなく、豊かな暮らしができるようになる。
詳細まで書くと、住宅だけでは納まり切らないスケールの大きな話に発展しますが…(笑)
では、なぜ海外では住宅を手入れをして長く持たせようという考え方があるのか?
そこを考えていきましょう!
日本と海外の住宅でここまで考え方に差が出来てしまった理由
答えは、「時間が経過した後の住宅の価値」に違いがあるからです。
日本の住宅は、新築時の資産価値が1番高く、時間が経つにつれてどんどん価値が下がっていきます。
そして、30年後には住宅の価値は、ほぼ0になります。
土地を売却する時に、解体更地にしてから売却するのは、このようなことも絡んでいます。
ここ最近、浜松では住宅付きで土地が売られていても、なかなか売れないことがほとんどですし。
かたや、海外ではどうなっているでしょうか?
日本とは真逆で、新築時よりも50年後の住宅の方が資産価値が上がっていることがあります。
50年よりも80年、80年よりも100年と言ったように、資産価値がどんどん上昇していく住宅もエリアによっては、あるようです。
考え方としては、50年持てば100年持つでしょう。
100年持てば150年持つでしょう、という考え方のようです。
北欧に目を向けると、築200年の家も普通にあるようです。
日本では、考えられませんよね。
住宅を手入れして、長く持たせようという考え方の根本は、資産価値にあると言ってもいいと思います。
住宅を長く持たせるとどんな恩恵を受けるのか?
少しだけ先述しましたが、住宅を長持ちさせて子供や孫の代まで、家を引き継ぐと住宅ローンに縛られることなく、豊かな暮らしができます。
船を買ったり、高級車を買ったり、子供の教育や習い事に費用を掛けることもできます。
特に、子供の才能を伸ばすことができるのは、可能性が広がって親御さんとしては嬉しい限りではないでしょうか。
子供は、どのようなところに可能性を秘めているか分かりませんし、無限の可能性がありますからね。
住宅を長持ちさせると、1番大切な子供にお金が掛けられるなんて、想像できませんでしたよね。
なぜ、日本の住宅は資産価値が下がるのか?
海外では、長く持ちするほど資産価値が上昇する傾向にあるのに…
日本では、なぜ資産価値が下がるのでしょうか?
それは、物事の考え方や捉え方としか言いようがありません。
資産価値は、固定資産税にも繋がる部分が大きくあります。
固定資産税は、年々下落の一途を辿っていきますから…
住宅の資産価値を下げているのは、国ということになります。
そこで登場したのが「長期優良住宅」
そこで、2009年に長期優良住宅という制度ができました。
2009年ということは、だいぶ前から政府もこの問題に気付いていたことになりますね。
しかし、未だに日本の住宅の資産価値は下がり続けている。
※長期優良住宅→良いものを造り、きっちり手入れをして長く大切に使う。という考えをベースにおいた考え方。
上記写真は、弊社で建築させて頂いた長期優良住宅の一例。
ただ、最近では長期優良住宅が出来て11年強…最近では少し違った見方もされるようになってきました。
長期優良住宅の認定を受けた物件においては、30年後の住宅の資産価値でも、1000万円程度は担保されるのではないか?
と考えられ始めたのです。
海外の住宅には、まだ及びませんが、方向性としては良い方向に向かい始めたのではと思います。
政府の視点から見てみると…
では、家が長持ちしたケースを政府の視点から見てみましょう!
非常に興味深いことが考えられます。
国としては、1番の優先は経済を動かすことですよね。
このコロナ禍の政府の動きを見ていても、何となくイメージできることですし、報道でもそのような目線の話が多いのも事実です。
となると…長持ちする家を建てられると、経済が思うように回りにくくなるので政府としては微妙なんですよね!
日本の就業者のうち、建設業に従事する人(ビルや住宅、施設等を手掛ける企業から職人さんまでを含む)の割合を調べると…
平成27年度に8%弱と記載されていました。(厚生労働省のページ参照)
日本の就業者のうち、約1割の人が携わる事業の景気が思わしくないと…経済の歯車も少しずつ狂い始めてきますよね。
ですから、長持ちする家は政府の視点からすると、あまり思わしくないのかもしれません。
環境問題からの視点ではどうか?
環境問題の視点から「長持ちする家」を見ると、断然、長持ちする家が支持されますよね!
家を建てるにあたって、さまざまな環境破壊がなされているのは事実です。
森林を伐採して、材木を確保。
材木を製材して、二酸化炭素を排出。
建築現場に材木や資材を搬入して、多量のガソリンを使い、オゾン層の破壊。
断熱性能や気密性能の悪い家を建てれば、冷暖房を多量に使用して環境に負荷を与える。
「長持ちする家=環境に配慮した家」となります。
そして、環境問題を政府の視点から見ても、二酸化炭素排出量等を削減することが必須なので、前向きに捉えて頂けると思います。
家を建てるお客様の視点からはどうか?
最後に、お客様の視点から「長持ちする家」を見てみるといかがでしょうか?
こちらも、議論の余地なく「長持ちする家」が良いに決まっていますよね。
35年ローンを組んで、ローンの返済が終わる頃には資産価値が「0」では厳しすぎますからね。
資産価値が残る、または向上していけば…
仮に売却した際にも、資金が入ってくるわけですからね。
まとめ
以上のことから、「長持ちする家」は政府としては微妙な立場を示しつつも、環境問題の改善も図らなければならないため、概ねgoサインを出している。
お客様も、「長持ちする家」にはメリットしかない。
あとは、住宅を建てるハウスメーカーや工務店が、どこまで取り組むかに尽きると思います。
私は、外国の住宅に対する考え方に賛成します。
なぜなら、子供や孫が住宅ローンに縛られることなく、豊かな暮らしができれば、自ずと別のところにお金が掛けられるし、景気も良くなると思うからです。
日本も、難しいかもしれませんが、外国のような考え方になれば景気も含めていろいろ変わるのかも…
と思いながら、毎日を過ごしています。
少しでも、日本の皆様の暮らしが良くなるようにと日々思っております。